ちょっと不思議で、愛情たっぷり|猫怪々 / 加門七海

完全に表紙買いだった。

加門七海の「猫怪々」が集英社文庫のナツイチ2018の限定カバーになっていた。

なんてスペシャルなんでしょう。

表紙デザインは人気イラストレーターのNoritakeさん。シンプルなタッチがかわいい。

夏だし怪談話にでも挑戦してみようという気持ちで読み始めてみたら、面白くて2日で読み終えてしまった。

1番面白いなと思ったのは、著者自身の実体験だというところ。

著者は視える人らしい。

1匹の仔猫を拾ったら、どうやらこの世には居ないモノも引き連れて来てしまったようなのです。

でも怪談というほど怖くなく、ちょっと不思議な話だなというのが私の感想です。

そう感じたのは、きっと実際に視えたら怖いであろうシーンでも、著者の解釈や書き方が優しかったり、面白かったりするからだと思います。

そして、一緒に暮らすことになった仔猫との日々がまた愉快。

購入した新築マンションの至るところで爪を研ぐ猫に対して。

そして、とうとう、私は悟った。
ン千万を出して買ったのは、猫の爪研ぎだったのだ!

また、持病がある猫のために、ワクチンではなく3種混合ヒーリングを施したり。笑。

いつしか自分が強力な猫溺愛ウィルスに感染している事に気付いたり。笑。

猫に限ったことではないけど、生きものと暮らしていると、人間の言葉を話さない分、いや、人間が理解してあげられない分、何がその子にとって正しい選択なのだろうと迷うことがあります。

でも動物病院に勤務していた私が思うのは、彼らは正しいか正しくないかでは判断しないと思います。

きっとどれを選んだとしても、大好きな飼い主さんが選んだものが彼らにとっての一番なんだと思います。

改めてそんな事を思い出させてくれた「猫怪々」は、著者の愛情がたっぷり詰まった家猫綺譚であり育猫日記でもあります。

かわいいのは表紙だけではなかった。猫好きの方はぜひ。

 

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